Like A Dream?(7)


「あ、田爪ー」
「っ、づめじゃ、ない、だろっ」
「ごめんごめん、」
 
『田爪の家の最寄り駅で降りる』そうメールを送ったのが、十分前。どうやら、メールを見てから慌てて家を飛び出してくれたらしい。家でもうゆっくりしてたのか、Tシャツにジャージのズボンに、パーカーを羽織っただけの簡単な格好だった。履いているのは健康サンダルで、思わず笑ってしまう。息を切らして汗だくの田爪は、ムッと顔を歪めた後、「笑うなっ」あたしの額を小突いた。
 ああ、何だか。久々だなぁ、この空間。
 柔らかい、田爪といる時特有の、優しい雰囲気が、好きで。無性に愛おしく感じる気持ちを、ゆっくりと噛み締めた。また笑いを零すあたしを、田爪は少し居心地悪そうに眺めていて。
 しばらくして、ため息を吐いた後、自転車を駅と反対の方に引きながら、歩き始めた。
「?どっち、行くの?」
「五分くらい歩いたとこに、公園あるから。何か話、なんじゃないの?」
「あ、うんっ。ありがと」
 
背を向けて歩き出す田爪の横に慌てて並んで、その横顔を盗み見る。街灯に照らされるその顔は綺麗で、溢れ出す気持ちに拍車をかけた。
 黙ったままだったけど、居心地は、悪くない。だって、田爪がここにいるなら、気まずさなんて感じる必要、無いんだもの。前を見たまま、田爪がぽつりと零す。
「美祢は、どっか行ってたの?」
「ん?あ、咲と瑞希とね、打ち上げみたいな?田爪はどっか行かなかったの?」
「んー、一応、希望者だけで飯食いに行ったよ」
 
それでも、全学年合わせて三十人くらい来たけど、と、僅かに微笑みながら話す。その寂しげな瞳の先には、きっと今日の試合とか、悔しさとか。更には一種の清々しさや、たくさんのものが映っているんだろう。
 あたしは、その瞳と一緒の世界で生きることは、出来ないけど。
 それでも、その一番近くで、その世界を見つめられたこと。田爪の側に、いられたこと。
 それはきっと、あたしにとって永遠で、最高の思い出だと、そう思う。

 しばらく、とりとめもない話をしながら、歩いた。だけど公園に辿り着いた頃には、会話は徐々に、減って行った。
「とりあえず、座る?」
「うん」
 
着いた先は、小さな児童公園。滑り台とブランコと、その奥にあったベンチに、二人並んで腰掛ける。後ろにある自販機の機械音や、近くの林から聞こえる虫の鳴き声が、やけに大きく聞こえた。六月と言っても、夜は少し寒くて。半袖Yシャツ一枚だったあたしは、軽く二の腕をさすって、いたら。
 
―ふわり
 
何の言葉もないまま、肩にかけられた、ぶかぶかのパーカー。驚いて顔を上げると、苦笑混じりに田爪が話し出した。
「寒いんだったら素直に言えよー」
「え、い、いいよ田爪っ」
「いいから、好意は受けとっときなさい。俺は急いで来たからまだ暑いし」
「でも、」
「……美ー祢。たまには甘えなよ、もう部活じゃないんだから」
 
「ね?」なんて、下から覗き込まれるように言われたら、あたしはもう、何も言えない。小さく頷きながら、小声で「ありがと」そう言うと、田爪は嬉しそうに微笑んだ。ぎゅっと、パーカーの前を合わせるように両手で引っ張って、身体を小さく丸める。ふわりと香る田爪の匂いに、どうしようもなく、胸が締め付けられた。
 ああ、どうしようかな、本当に。こんなに好きで好きで、たまらなかったんだ――。
 今更ながらに自分の全身を蠢く強い感情に、恥ずかしさとか幸福感とか、そういうたくさんのものを得た。
 田爪って、すごい。匂いとか声とかメール一通ですら、あたしをこんなに幸せにも不幸にも出来る。
 ちらりと横目で、田爪を見る。軽く前髪を押さえた後、あたしの視線に気付いて、悪戯に笑う。無邪気なその微笑みが、まるで、あの四月みたいで。ある訳ないのに、後ろに桜が舞って見えた。
「ん?どうした?」
 
犬ころみたいな、その笑顔も。変わらない、その無邪気さも、純粋さも。
「喉乾いたか?何か飲む?つっても、俺金そんな持ってないけど」
 
出会ったこと無かったんだよ、あんたみたいな人、一度だって。
 どうしようか、ねぇ。
 出会わなかったら、こんな気持ち、知らずにすんだのに、ね。
「しょーがねーなぁ。何か奢ってやる!!美祢、何がいい?」
 
人を好きになる苦しさや、悲しさや、……それを遙かに上回る、幸福感も。
 君がこの世界に生まれて、あたしと出会ってくれる、夢みたいな奇跡なくちゃ、知らずに済んだ。
 知らないまま、終わってしまったよ。

 ベンチから立ち上がって、お財布を取り出す田爪を、ゆっくり見上げる。自信満々のその笑みに、小さく笑みを零して。
 あたしは、たった一つ。何よりも愛しい人を、指さした。
「?何、なんかついてる?」
 
案の定、自分のTシャツを引っ張ってあたしの指差した先を探ろうとする彼に、小さく苦笑を零す。そのまま、柔らかな気持ちのまま、はっきり田爪をもう一度、示して。

「――あたしは、田爪がいい。田爪が、欲しいな」

 直後、固まった田爪が、顔を真っ赤に染めたことは、言うまでもないと思う。
「な、……は、……っえぇ!?」
「ぷっ」
 
真っ赤になったまま、口をパクパク開閉して混乱している田爪に笑ってしまう。
 本当に、気付いてなかったんだね。あたしの、気持ち。
 苦笑しながら「落ち着きなさいよ」と笑ったら、田爪はあたしをギッと睨んで「落ち着けるかっ」、なんてキレだした。まぁ、そりゃそうかもしんないけど。でも、もう抑えたくないって思ったんだ。この気持ち。ただ一人、あんただけを乞う、この身体一杯に溢れる気持ち。
「好きだよ」
「っ」
「田爪が、好き。友達としてじゃなくて、一人の男の人として、あんたが好きなの」
 
田爪の目をじっと見つめてこの気持ちを口にする。真っ赤なままの田爪は、困ったように俯いて、視線をずらした。その姿に、分かっていたはずなのに、胸が痛くなる。
 今、田爪には大切な女の子がいて。あたしを見ることはもう無いんだって、それはちゃんと理解してる。それでも、理性とは別の場所で揺れる感情が、あるから。あたしも少し辛くなって、黙って下を見た。
 履いている黒のローファーが、自販機の光にぼんやりと照らされる。その少し向こう側を見ると、裸足にサンダルを履いている、田爪の足が見えた。
 目の前にいるのに、こんなに側にいるのに。あたしは、あんたに包んでもらえること、二度と無い。その癖未練がましく、今更告白してきて、何だ、って思う?
 でもね、駄目だったんだ。いつか消えるだろうって思ってたこの気持ちは、消えるどころか強く、あたしを焦がすんだよ。きっとこの先、どんな素敵な人に出会ったとして、恋をしたとしても、あんた以上に想うことはできないよ。
 ――だけどその気持ちを、田爪に押し付けるのは、狡いから。同じ気持ちを求めるのは、あまりに自分勝手だから。
「さて、と。じゃああたし、帰るね?」
「、は?」
「言いたいことは言ったし、……うん、もう満足。明日からはまた、友達としてやってこ?」
「……っ」
「じゃっ!!」
 
笑いながら立ち上がって、肩に掛かっていたパーカーを軽くたたんで渡す。戸惑ったような田爪は、それを呆然と受け取った。あんまりその顔を直視しないようにしながら、手を上げて、別れの挨拶を口にする。
 これ以上ここにいたら、泣いてしまいそうだから。早々に背中を向けて、歩き始めた。

 ――
本当にね、好き、だったの。
 全てが愛しくて、大切で。
 まるで夢のようなあんたから、夢のような時間をもらった。
 それはこれからも、あたしの中で、大切にしていこう。
 この気持ちをくれて、ありがとう。
 こんな大事なこと、惜しみ無く教えてくれて、ありがとう。
 明日からは、あんたの姿を探さないよう、頑張るから――

 だから、今だけは。そう思いながらも、公園の入口あたりで、涙が頬を伝った。
 ……駄目だな。せめて家に帰るまでは、って思ったのに。意思とは反対に、止まっては、くれない。
 暗い駅までの道を一人で歩くのは怖いけど、もう、あいつの手を借りることは無いから。振り返らず、公園の外に踏み出した、瞬間。
「っ待てよ美祢!!」
「、」
 
不意打ちで、引き寄せられた、肩。力を無くしたあたしの身体は、その大きな掌の命ずるままに、クルリと方向を変える。気付いたら、目の前一杯に田爪の顔が広がっていた。あたしの顔を見て、一瞬顔を歪めた田爪は、怒ったような、泣きそうな、そんな顔をしていた。
「なんで、だよ?」
「……」
「俺のことが好きなら、なんであの時ふったんだよ?なんでずっと、言ってくれなかったんだよ?なんで今になって、言うんだよっ」
 
悲痛な声で疑問を口にする田爪に、あたしは何も言葉を返せなくて。ごめんね、と小さく心の中で呟いていた。実際には、少しでも口を開いたらしゃくりあげてしまいそうだったから、何も言えなかったんだけど。
 そんなあたしをじっと見ながら、田爪は、肩に添えていた手を外して、両手で静かにあたしの頬を包んで。

「……そんなに、俺のこと好きだって顔、してるのに。なんで、諦めようとするの……?」

 今にも消えそうな、微かな声で、苦笑した。
 その穏やかな色が、あたしには苦しくて、愛しくて。今度こそ、堰を切ったように泣き始めるあたしを、田爪は柔らかく抱き締めてくれた。
 その両腕に包まれる感触は、一年前のあの日と、一緒で。二度と触れられない、そう思った温もりに、もう一度出会えたこと。それは奇跡みたいに、優しいものだった。
 田爪の温もりは、田爪の優しさと、一緒。触れるだけで嬉しくて、優しくて、悲しみがほぐれていく。
 あんたしか、見えなくなるの――。

 しばらく涙を零しながら、不意に冷静になっていく頭。ふと、今の自分達の状況を改めて振り返ってみた。
 ……田爪、彼女いるんじゃないの?さすがにこれは、まずいでしょ。あたし浮気相手になる気は無いし。
 いや、嫌とかじゃなくて、すっごく嬉しくはあるんだけど!!
 心の中で自問自答を繰り返し、慌ててその胸を押す。でも、首の後ろに回された腕の力は緩むこと無く、むしろ、強くなる。必死に離れようとするあたしの髪の間を、無骨な指がゆっくり滑った。
「っ、田爪?」
「何?」
 
慌てて掛けた声に、不満げな返事。驚いてその顔を見上げると、不機嫌そうに顔を歪めていた。
 いやいやいやいや、おかしいでしょ、その反応は。
 何て言えばいいか分からず、眉を寄せてその顔を見つめても、依然として田爪はムスッとしたまま。
「なんで」
「え?」
「なんで離れようとするの?俺が触れるの、嫌?」
「そ、ういうんじゃない、けど」
「じゃあ、いいでしょ」
 言い終わると同時に、再び強く抱き締められる。まるで、離さない、と言わんばかりに。その余りの力強さに驚きながら、苦しくて軽く二の腕を叩く。喘ぎながら、田爪の耳に唇を寄せた。
「っ、彼女、いるんでしょ?まずいんじゃない?」
「……え?」
「だから、彼女っ」
 
ようやく、そのことを口にした、その時。一気に力を抜いて間抜けな返事をした田爪を軽く睨みながら、距離を取る。まだ惚けた顔をしたままの田爪に、見せ付けるようにため息を吐いた。
 ……忘れてた、なんて言い訳は聞かないからね。あんたがそんないい加減な人間だとは、思わないけど。流されやすくたって、困るよ。
 じっと睨むようにその目を見つめていると、不意に田爪は、眉を寄せて、困ったような顔をした。何か予想外なことでも言われたような反応に、むしろあたしが驚く。首を傾げながら、田爪は口を開いた。
「美祢、それ誤解だよ」
「は?」
 
何を言い出すんだ、こいつ。
 そんな訳ないじゃない、部員がそれ言ったんだよ?そう言ったら田爪は顔を歪め、頭をグシャグシャに掻き回した。
「あーもーあいつら……」
「何よ?」
「美祢、それは本当に違う。それ、でたらめだよ」
「はあ!?」
 
何?あたし、嘘吐かれたってこと?
 予想もしなかった言葉に固まるあたしに、田爪は言葉を重ねた。
「三年の奴らは、俺の気持ち知ってたんだよ。だから、わざと言ったんだと思う」
「……わざと、って……。でもあたし、田爪が女の子と一緒にいるとこ、見たしっ」
「あーえっとね、あの子は、ね」
 
困ったように視線を彷徨わせる田爪を、再び睨む。信じない訳じゃないけど、今の言葉だけじゃ、納得できない部分。
 あの子、ただの知り合いでは無いでしょ。あんなにリラックスしてたんだから。
 だけどしばらくして、意を決したように口を開いた田爪の口から出た言葉は、予想外のものだった。
「……妹の、親友です……」
 ――顔を真っ赤にして俯く田爪のつむじが、妙にはっきり見える。
 今度こそ、完全に言葉を失ったあたしに、田爪は事の顛末をボソボソ話し始めた。
「俺、妹と仲良くてね?あの、結構前から美祢のこと相談乗っててもらってて。で、あの、親友の子。も、昔からの知り合いで、家族みたいなもんで。一緒の高校に入学したから、折角だしって、色々作戦、たててくれたんだ。それで一緒にいたら部員の奴らが付き合ってるのかって聞いてきたから、否定したら理由聞かれちゃってさ。そしたら勝手に協力してやる、とか張り切っちゃって」
 
そういうことです、と締め括って、疲れたように田爪はため息を吐いた。
 な、何なの、その……。
「……情けない人間は……」
「い、言うなよ!!自覚はしてるんだからっ」
 
真っ赤になって叫んでくる田爪に脱力する。
 いや、妹に相談って。しかもその親友にも知られてるって。あんたは何歳なのよ。本当に今年高三なの?
 しかも部員も部員で、予想外に攪乱されていた事実に、頭がクラクラする。ああもう、本当に、困る。困るけど。
 ――予想外に、胸中いっぱいに広がった喜びに、苦笑してしまった。
 大逆転だ、こんなの。全然考えても見なかった。こんな、幸せを。
 疑問は全部聞いてみよう、とその目を見る。
「でも、今までの彼女は?三井さんと地元の子」
「あ、それは……」
 
途端、気まずげに口をもごもごさせる田爪。
 でも、許す気はないからね。しっかり答えてくれるまで、解放はしないから。
「美祢に、ふられて、やけになってたんだ。それで、他の子に、逃げた。そしたら、辛くないかな、って思って……」
 
でもそれも見透かされてすぐふられて、しかも忘れられなかったから、情けないな。
 悲しげに苦笑した田爪に、あたしも苦笑を返した。
 あたしが、あの日。弱くて、あんたのことを信じ切れなかったのが、この馬鹿馬鹿しい道の、始まりだったのかもしれない。それでも、無駄だとは、思わない。こうやって、何回も遠回りして、みんなを傷付けた先で得たモノだけれど。だからこそ今、あたしはここに立つことが出来たんだと、思いたいの。
 
黙ったまま、田爪のすぐ近くまで歩く。下を向いたままだけど、その表情は何となく予想がつく。きっと、情けない顔をしてるんだろう。困ったような、泣きそうな。顔を上げてみると、予想通りの顔をしてたから、つい顔が綻びそうになった。
 でも、必死に引き締める。手を高く上げると、叩かれると思ったのか、田爪はぎゅっと目を瞑った。
 それに苦笑して。
「……っ、」
 ――強く、抱き締める。
 両腕をその背中に回して、頭をぽすん、と肩にぶつけた。
 ……ああ、やっと触れられた。やっと、ここに戻ってこられた。

 
たくさん、遠回りしたね。たくさん、傷付けたね。たくさん、謝りたいことがあるの。
 
だけど、それ以上に。

「……美祢?」
「約束して」
「、」
「――もう、絶対あたしは、あんたを離さないから。だからあんたも、あたしの側にいて、笑ってて。あたしが大好きな、あんたのままで」
 
お願い、と言外に含めて、力を込める。戸惑ったような空気を感じながら、決して離さないように。もう二度と、大切なものを、見誤らないように。

 ――たくさん、君が好きだと伝えたい。あたしの持てる全部で、その言葉を。

 不意に、ため息が落とされる。柔らかなそれは、苦笑と一緒に耳元を滑り落ちた。
「ずるいな、美祢は」
 
そんな言葉と一緒に、肩に回される、腕。悲しい訳じゃないのに、自然と涙が零れてきた。
「俺が言いたいこと、全部言っちゃうんだもん。俺、立場無いよ」
「……」
「どうしてくれるの?」
 
困り切ったような言葉は、だけど、その裏に溢れる嬉しさを、隠しきれてなくて。思わず、泣きながら笑い出すあたしに、田爪は「こら、」と小さく囁いた。暗い街頭の中、それでも、田爪がいてくれるから。あたしの胸は、ぽかぽかしてる。
「約束、するよ。美祢が望むなら、いくらだって、何年かかったって。俺だって、もう二度と、離したくない」
「たづ、め」
「どんな子と付き合っても、美祢しか、頭になかった。何度も、欲しいって、思ったよ。俺だけのものにしたい、って。……俺ね、」
 
優しい言葉が、あたしの中に反響する。ずっと欲しかった甘い言葉は、予想以上にあたしを縛って。
 ああ、やっとか、って思った。
 友達としての田爪も、プレイヤーとしての田爪も、欲しかったけど。あたしは、恋人としての田爪もずっと欲しかったんだ、って今更気付いた。
 不意に言葉を途切らせ、黙り込む田爪を見上げる。予想以上に至近距離にあるその顔に驚いていると、そっと、目尻に口づけが落とされて。

「――美祢が好きで、仕方ないみたい、だ」

 長い長い間あたしを苛んだ恋心は、彼のその一言で、柔らかな感情へと変化した。それはまるで、魔法みたいで。これが夢にならないよう、離れないよう、ますます強く、必死に、田爪に抱きついた。




あんたの笑顔が、好きだったんだ。
だけどいつだって、その笑顔が壊れやすいと思っていた。
儚くて、ふわふわしてて、今にも解けてしまいそうな。
目覚めたら消えてしまう、夢のような人だと、信じていた。
あんたが見せてくれる現実は、まるで夢のようにキラキラしたものばっかりで。
あたしはその美しさに、あっという間に夢中になった。
だからこそ、自分がそれを壊すことを怖がって、馬鹿みたいに逃げまどったんだけど。
でも、これからは。
あんたの隣で、あんたと一緒に夢を見ればいいと、そう思う。
二人でこの世界を描いていけばいい、包んでいけばいい。
それを教えてくれたのも、あんただって、知ってるから。
今までも、これからも、ずっと。
あたしの側にあんたがいる奇跡、大事にしていこう。
二人で笑えるきらめき、心に残していこう。
これは夢じゃない、現実で、その中で出会えた、大切な宝物なんだから、ね?


  

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